会津珈琲紀行

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午前中小雨が降る郡山で商談を済ませたわたしは、やや遅めのランチを駅近でとった。

土地勘もないことから、なんとなく選んだ店だ。めし屋にはあたり、はずれがあるがここははずれに近い。

食後のコーヒーもいつ淹れたのか煮詰まっていた。

口直しに美味いコーヒーを飲みたくなり、付近を探してみるが、知らない街。どこがいいのか分かるはずもない。

駅中カフェならハズレはないだろうとの思いで駅に向かう。改札口の発車標を見ると会津若松行きの列車が出発を待っていた。

午後2時を回ったところだが、会津も良かろうと衝動的に切符を買い、列車に乗り込んだ。
この時点で仕事はオフにして、携帯の電源を切った。

今日の気分はカフェでなく喫茶店でもなく珈琲屋だ。行ったことはないが1軒あてがある。

列車は山を抜け、大きな湖を遠目に走る。
1時間ちょっとで会津若松に着いた。

ここから隣駅の七日町に出たいが、あいにくと列車がない。散歩がてら歩くことに。

15分ほど歩くと目的の珈琲屋が見えてきた。
白い壁の趣きがある佇まいだ。

一見客なので、こんな佇まいの珈琲屋に入るには少し勇気がいる。重いドアを開けるとノスタルジックな光景が目に飛び込んできた。珈琲の香りが店内に立ち込めている。

テーブル席が2つ、そしてカウンターがある。
テーブル席とカウンターの両端には先客がいた。

ちょっと躊躇しながら、カウンターの奥でドリップをしていたマスターに「ひとりです」と声を掛ける。

眼鏡をかけたマスターは、わたしの顔を見るなり他所者だねと眼の奥と無言で訴えてきたように感じた。

「奥の小上がりにどうぞ」と声を掛けてくれた。ここで奥の席があるのが分かった。

店内は珈琲屋に似合うJAZZが静かに流れている。ビッグバンドはこの店には似合わない。

カウンターの壁には大きな柱時計が掛けられていて、ノスタルジーさを演出しているように感じる。

常連客だろうか、テーブルとカウンターの客が遠目に話しをしている。マスターもその輪に加わっていた。

こじんまりとした小上がりに座る。ドリップを終えたマスターが水とメニューを持ってきてくれた。

初めての店では、その店のお勧めを飲むことにしている。

マスターに酸味が少なくてフルーティなテイストのお勧めはと聞く。

マスターがメニューをめくりながら、テイストに合った豆を勧めてくれた。
わたしは軽くうなづき、マスターの勧めのまま珈琲を注文した。

鞄から読み掛けの文庫本を取り出す。最終章迄進んでいる。読み終えてしまうと帰りが困るので店の本棚を探ってみる。本棚にとってがありなんとなく引いてしまったら、そこにはご不浄があった。洒落が効いた作りである。

雑誌をめくりながら、常連客の話しに聞き耳をたてる。ところどころ方言で分からない部分もあったが、楽しそうな会話が続いてわたしも少し嬉しくなった。マスターや常連客に季節毎の会津の良さを教えてもらった。仲間に入れてもらった感が緊張を和らげてくれた。

珈琲は丁寧にドリップされ、フルーティな香りが鼻を優しく刺激してくれる。美味い。やっぱり珈琲屋。今日はカフェでなくて正解。

小一時間滞在しただろうか、そろそろ帰りの列車が気になりだしてきた。後ろ髪を引かれるように店を出たのは言うまでもない。

またお邪魔することにしよう。

会計のとき、マスターからこのマグカップの方ですよね?と。。

なんだ、バレてたのか。

終わり(笑)

この物語はフィクションです♬

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One Reply to “会津珈琲紀行”

  1. 珈琲も美味しかった【うまかった】でしょうが、やはり、文章、言葉の流れが心地よい持って生れたてもんだろうな✨✨

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