顔の見えない恋 -第一話-

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「体を重ねれば楽になれるのかな。」

麗奈は溜息交じりで小さく呟いた。

麗奈には雄也という付き合い始めて半年の彼がいる。

 

雄也は「俺は麗奈を好きだ」と言ってくれているが、彼の普段の優柔不断さから信じ切れていないのだ。

会って食事をしても、飲みにいっても自分からは意思を示さず、「麗奈の好きなところでいいよ」と任せてしまう。

それはひとつの優しさであると感じているが、麗奈から思えば彼に引っ張ってほしい気持ちが大きい。

 

しかも彼は男友達を大切にする。

男の友情。それはそれで仕方がないことかもしれないが、麗奈にとってはいつも2番手扱いなのだ。

麗奈との約束があっても、男友達から誘いがあればそちらを優先して、後回しにされるか男友達と一緒の行動になってしまう。

不満と不安は募る一方になる。

 

麗奈は27才、雄也は30才。中身はどうであれ、世間から観ればもう一端の大人だ。

年齢のこともあるし、もう2番手では満足がいかない麗奈。雄也の本心を直接聞いてみたい。

友人も年を追うごとに少しずつ結婚して、既に子どももいる友人もいる。

麗奈は一人暮らしではあるが、実家が電車で1時間程と近いため帰ることも多い。

その度に母親から誰々ちゃんは結婚した。誰々ちゃんは子どもができたと言われうんざり気味であることは確かだ。

このところ晩婚となっているとは言え、親しい友人も家庭を持つことに焦りを感じていることは確かだ。

雄也と距離を縮めたい。でも雄也自身がはっきりしたい。苛立つ。

 

3日前に一緒に飲みに行った。すこし酔った勢いで雄也に「わたしのこと本当はどう思ってるの?」と聞いてみた。

雄也は「俺は麗奈を好きだよ」とまた同じ言葉を返してきた。

「わたしが聞きたいのはその先なんだけど」・・

「え?何、その先って?」とぽかんとした雄也。

「単に遊び友達として付き合ってるだけなら、誰でもいいんでしょ。どうせ2番手だしね。」

単に鈍いのか、それともはぐらかしているのか、本心が見えなかった。

「あなたは30、わたしは27だよ、そろそろ将来のこと考えようよ」

「そんなこと言われたって、まだ付き合って半年だよ。お互いのことまだわかってないじゃん。だってまだアレだってしてないんだよ。」

確かに半年、体の関係になったことはない。彼もわたしも淡白なのか。

それともわたしたちの世代はそんなものなのか。セックスレスという風潮に流されて行っているだけなのか・・

 

-第二話に続く-

 

 

 

 

 

 

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